用語集 50音順 さ行

最大供給電圧

電源端子に供給される電圧の最大定格値。この値以上の電圧を印加すると特性の劣化または、破壊につながる場合があります。



最大励振レベル

水晶振動子が正常に動作する励振レベルの上限値。励振レベルはドライブレベル(DL)とも言います。この値以上の電流または電力を印加すると特性の劣化または破壊につながることがあります。



実効抵抗

水晶振動子の負荷時等価抵抗のことで、Reとして次式で計算できます。Re=R1(1+Co/CL)2

参照 : 等価直列抵抗



ジッタ

· ジッタ:信号波形に生じる時間軸のずれや揺らぎ。
· ピリオドジッタ:信号の1周期長のずれや揺らぎ。Peak to peakジッタは、信号の最大周期長と最小周期長の差を示し、RMSジッタは周期長の分布の標準偏差(1σ)を示す。
· サイクル to サイクルジッタ:信号の隣り合う1周期同士の差に発生するずれや揺らぎ。最大周期差の絶対値をPeak to Peak、周期差分布の標準偏差をRMSと示す場合がある。
· ランダムジッタ (RJ):熱雑音やフリッカ雑音が起因で発生するジッタ。ジッタの分布は正規分布を示し、その標準偏差をジッタ値としている。
· デターミニスティックジッタ (DJ):回路設計、電磁誘導、また外部環境等で誘発されるジッタ。有限で予測可能(確定的)であることが特徴。本ジッタがあると、ジッタの分布が複数の正規分布(ランダムジッタ)が重なり合った形で現れ、これら正規分布の中央値の最大と最小の差をジッタ値としている。
· トータルジッタ (TJ):規定された確率において発生しうるジッタ最大量。TJ = DJ + n × RJ で計算される。DJは確定的ジッタのため有限値であるが、RJは正規分布を示すため、取りうる値は無限大となる。そのため、TJにはエラー発生確率(BER)が設定され、その確率に応じてnの値が決定される。BER=10^-12の場合、n≒14となる。
· 位相ジッタ:位相雑音より導出されるジッタ。位相雑音とは、周波数領域で表現した周波数の不安定さであり、これを積分して時間領域に換算することで得られる。

参照 : テクニカルノート:ジッタと位相雑音

  1. Period Jitter(Peak to Peak)
    1周期長のばらつきの幅を示す(最大と最小の差)
  2. RMS Jitter(σ)
    ばらつきの程度を示すもの(標準偏差)
    PeriodJitterとRMSJitter
  3. Random Jitter
    自然誘発的に起こる予測不可能なジッタ
  4. Deterministic Jitter
    回路、電磁誘導、外部環境等から誘発されるジッタ
    Random JitterとDeterministic Jitter Random Jitter
  5. Accumulated Jitter(Long Term Jitter)
    連続したクロックの各周期目のばらつき。
    Accumulated Jitter Accumulated Jitter
     
    ジッタの比較
  6. Cycle to Cycle Jitter
    隣接するクロック・サイクル間の周期の一時的なズレ。Cycle to Cycle Jitter = T1 -T2

参照 : 水晶発振器ラインナップ



周波数

単位時間(1秒間)当りの周期(波)の数。周波数(f)と周期(t)の関係は、f (Hz) = 1/t (s)となります。



周波数安定度(周波数許容偏差)

規定の温度条件範囲および動作電圧範囲内で、水晶発振器の規定の出力周波数(fo)の許容誤差(周波数温度特性と周波数電圧特性を含む)を規定したもの(デルタf/fo)。



周波数温度特性

+25 ℃時の周波数を基準とし、周囲温度の変化による周波数の変化。周波数温度特性は次の近似式で表されます。

エプソンのSAW共振子/発振器には、周波数温度特性が通常レベルの製品に加え、2倍に向上した製品があります(New SAW: NS-32R, EG-2121,EG-2102)。

音叉型振動子の周波数温度特性例 AT振動子の周波数温度特性例 SAW振動子の周波数温度特性例


周波数可変範囲

電圧制御型水晶発振器において、Vc端子への入力により変化させることができる周波数の範囲。ここで、APR(絶対周波数可変範囲)と言う場合は、周波数の公称値からの変化させることができる周波数の範囲を言います。すなわちAPR=周波数可変範囲ー周波数偏差(周波数許容偏差)となります。



周波数経時変化

時間の経過と共に生じる周波数の変化量。通常は1年間の周波数の変化量を言います。水晶振動子では水晶片の加工工程で加えられた表面の応力歪、支持部分で発生する応力歪、さらにパッケージ内部のガスの変化等が特性変化の要因となります。周波数エージング、経時変化、経年変化とも言います。



周波数精度(周波数許容偏差)

規定の条件で、周囲温度+25 ℃における周波数の公称値(f)からの実際の周波数(測定値)のずれ(Δf)。通常は比(Δf/f)で表されます。

参照 : 周波数安定度



周波数電源電圧特性

動作電源電圧内の中心値の出力周波数を基準とし、電源電圧の変化によってずれる出力周波数。電源電圧変動による周波数の変化の要因としては、水晶の歪の変化、および発振器やRTCモジュールに内蔵されているIC内部の定数の変化がありますが、一般的には後者の影響が大きな比重を占めています。



周波数偏差(周波数許容偏差)

  1. 動作条件の変化等による周波数の基準値(f)からのずれ(Δf)を比(Δf/f)で表したもの。
  2. 周囲温度25℃における規定周波数(f)からの実際の周波数(測定値)のずれ(Δf)を比(Δf/f)で表したもの。常温偏差とも言います。

周波数偏差(常温偏差)に関する詳細な解説はこちら



出力周波数

水晶発振回路または水晶発振器から出力される周波数。



出力負荷

出力に接続される回路負荷。



常温偏差

周囲温度+25 ℃における規定周波数(f)からの実際の周波数(測定値)のずれ(Δf)を比(Δf/f)で表したもの。周波数偏差とも言います。

周波数偏差(常温偏差)に関する詳細な解説はこちら



真空蒸着

真空中で、金属・誘電体物質を蒸発させ、基板表面に薄い被膜を形成させる方法。蒸着の方法としては抵抗加熱真空蒸着法、E.B加熱真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などがある。



人工水晶

天然に産出される水晶に対し、人工的に育成された水晶のことを言い、水晶デバイスの原料となります。天然に産出される水晶原石には不純物が多く含まれており品質のバラツキが激しいのに対し、人工水晶原石は不純物が少なく均一な品質を有していますので、安定した水晶デバイスが製造できます。水熱合成法と称する製法により種水晶を所定のサイズにまで成長させる方法がとられています。オートクレーブと呼ばれる育成炉の中で、約+400 ℃・1000気圧の環境のもとに2ヶ月位かけて育成されます。


人工水晶



水晶

SiO2で表される六方晶形の単結晶体。天然水晶と人工水晶があり、装飾用としては天然水晶が使用されます。水晶デバイス(工業用)では、1960年代頃までは天然の水晶原石が使用されてきましたが、以降良質な人工水晶原石が生産できるようになり、不純物や格子欠陥が少ない、供給が安定しているなどの理由から現在では全てが人工水晶に置き換わっています。

天然水晶 人工水晶


水晶振動子

圧電現象をもった水晶振動片を専用容器に組み込んだもので、使用される振動片の種類により音叉型振動子、AT振動子などに区分されます。

参照 : 音叉型振動子AT振動子



水晶発振回路

水晶振動子を発振させるための回路。一般的なCMOS ICを用いた水晶発振回路を図に示します。


CMOS水晶発振回路

参照 : 発振回路定数



水晶発振器

水晶振動子と水晶発振回路を内蔵したICを1つのパッケージに収納し、所定の周波数を出力できるようにした水晶デバイス。水晶振動子と水晶発振回路とのマッチングが調整済みですので、安定した発振出力が得られます。エプソンは、水晶振動子より水晶発振器の使用をお奨めしています。



スタンバイ

発振器内の水晶振動子の発振部と出力段の動作を止める機能。発振部と出力段で消費される電流がカットされます。関連する用語としてスOE:アウトプットイネーブルがあります。

参照 : アウトプットイネーブル



絶縁抵抗

リード端子相互間、およびリード端子とケース・パッケージ間の抵抗値。



絶対最大定格

製品の破損や特性の致命的変化をもたらさないための項目とその範囲。



セラミックパッケージ

ボディーの材料にセラミック材を使用したパッケージ。水晶振動子は長期にわたって特性を維持するために、気密性の高い容器に封止する必要があります。このため、従来はパッケージに金属材が使われてきましたが、小型SMD製品には新たにセラミック材が使われるようになってきました。





Page Top