ジャイロセンサのチェックポイント

ここでは、仕様からだけでは見えてこない、ジャイロセンサのチェックポイントをご紹介します。

ジャイロセンサのチェックポイントについて

精度が良いジャイロセンサとは、安定性が高いジャイロセンサであるということです。
そこで、高安定を見極める5つのPoint
1. ノイズレベルが低いこと
2. 温度変化に対する安定度
2-1. 0点温度特性が安定していること
2-2. 感度温度特性が安定していること
3. 振動や衝撃などによる影響が少ない
3-1. 角速度以外の他の振動に影響されにくい
3-2. 衝撃に強い


1. ノイズレベルが低いこと

ノイズのレベルを確認するために、ノイズ密度を確認します。お客様も使用する帯域の中で、ノイズ密度が低ければ低いほど高安定であることを示します。

Low noise level

2. 温度変化に対する安定度

2-1. 0点温度特性が安定していること

次の図のように、初期値(0点)が温度変化によってどのような影響を受けるかを確認してください。
0点温度特性が安定していると、静止している状態のときに、温度変化に影響されず、静止していることをきちんと測定することができます。
この図では、グラフがなるべく直線で、偏差幅がより小さいことが高安定と言えます。

0点電圧の温度特性は通常変化量で示されます。規格化する場合の基準値は25°C値となります。これを温度特性変化量(赤線)で示しています。

元々の特性は25°Cにおける特性値(=常温偏差)を持っていますので、システムのキャリブレーションをする際には、このばらつき特性を考慮に入れる必要があります。


2-2. 感度温度特性が安定していること

感度も同様です。
次の図のように、1 deg/s当たりの出力(感度誤差:mV/(°・s-1)単位)が温度変化によってどう変化するかを確認してください。
この変化分をキャンセルするための補正が必要になり、お客様の設定負荷がかかります。
こちらも、図のグラフがなるべく直線で、偏差幅がより小さいことが高安定であり、システムでの補正負荷が軽減できます。

感度の校正は難しく、装置上も大きな負荷となります。また、感度誤差は角速度が生じた時にその角速度の大きさに比例して誤差を発生させます。

感度などのデータは、各メーカにお問い合わせください。

3.振動や衝撃などによる影響が少ない

3-1. 角速度以外の他の振動に影響されにくいかをチェック

次の図は一つの測定例です。
ジャイロセンサが、角速度以外の振動(加速度など)に影響されずに計測できることが、高安定につながります。
0点の状態で、角速度以外の振動周波数を印加した時に、図の赤枠の赤やピンク線のように、ノイズが発生すると、誤測定の原因になります。
この様なチェックも高安定には大切なポイントになります。

3-2. 衝撃に強いかをチェック

耐衝撃性に対するデータのご確認が必要です。 耐衝撃性の試験には、(1)どの程度の衝撃までセンサが破壊されないか、(2)どの程度の衝撃まで、特性が変わらないか、という2つの場合があります。
仕様などに表れている耐衝撃性の数値がどちらを意味しているのかをきちんと確認して、製品を選ぶ必要があります。
破壊されないことはもちろんのこと、衝撃で特性が変わりにくいことが高安定のポイントになります。

以上より、 ジャイロセンサーを採用する時は、「高安定を見極めるポイント」をしっかり、確認することが重要なんですね。



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