第3回 西陣織の産業革命

2009年10月

第3回 西陣織の産業革命 高精度な量産技~ジャカードとフォトAT振動子~

※西陣織は「西陣織工業組合」の登録商標です。

絢爛豪華な色彩と精巧な紋様で、日本の織物の代表とも言える西陣織。500年以上の歴史を持つ日本の伝統技は、同時に進取の気質も備えていました。明治のはじめパンチカードを用いて織りを制御する西洋のジャカード(ジャガード)織技術を取り入れた西陣織産業は、効率と量産性を向上し、さらに新たな技法も確立するなど近代産業へと生まれ変わったのです。
水晶振動子も電子回路の高速・高精度化にともない、これまで問題とならなかった小さな特性のゆらぎが課題となっていました。エプソントヨコムはQMEMS技術によるフォトリソとフォトエッチング加工を用い、より薄く、より小さく、より理想的な形状の水晶チップの安定量産体制を確立し、市場の要求に応えています。

高品位な織の技が、西陣織の真骨頂

応仁の乱が終わった後、西軍の陣の跡地周辺で織物生産が始まったのが、西陣織の名の由来です。綴(つづ)、金襴(きんらん) 緞子(どんす) 綸子(りんず)、朱珍(しゅちん)、厚板(あついた)、唐織(からおり)など、さまざまなものがありますが、細密でカラフルな紋様と、光に応じて表情を変える奥行き表現が特長です。染色した糸を贅沢に使い、たて糸とよこ糸を高密度に織り込むことによって複雑な図柄を立体的に構成するわけですが、実際の作業では、緻密な紋様であれば数千本の糸の中から指定された糸を選び、たて糸とたて糸の間によこ糸を通すという、ひたすら単調な作業を正確に繰り返さなければなりません。昔は空引き機(はた)と呼ばれる大規模な装置が使われ、熟練した職人が2人がかりで莫大な時間をかけて作業をしたそうです。

高価な織物として、幕府、宮廷など富裕層に珍重されてきた間はそれでもよかったのですが、江戸時代が終焉を迎え海外輸入品などが台頭してくると、西陣織も近代産業として量産性や大衆性を考慮する必要に迫られるようになってきました。


量産性と高品質を支えたのは、"明治のデジタル技術"

そこで西陣では、明治のはじめ、フランスに技術者を派遣し、当時の先端織物技術であったジャカード織を導入しました。
従来の空引き機は描かれた図案にあわせて、どの糸をどのタイミングで持ち上げるかを人が制御していました。これに対し、ジャカード織は複雑な図案をいったん穴のあいた紙(パンチカード)の形に翻訳し、どの糸をいつ持ち上げるのかを制御するシステムです。パンチカードというと、大昔の電子計算機を連想する方もいるかもしれませんが、それもそのはず、このジャカード織こそ後の電子計算機つまりコンピュータの起源と言われるからです。
ジャカード織の技術導入により、西陣織は生産効率が飛躍的に高まりました。紋様データの保存・転用が可能になったことで量産性も高まり、機械化により緻密で新しい図案の織も可能になるなど、西陣織はより速く、より安定した品質で、より高度なものづくりが可能な近代産業へと生まれ変わることに成功したのです。

水晶デバイスの工法に革新をもたらすQMEMS

AT振動子は、水晶片の中央部と周辺部の厚みを変えるなど、精密な形状加工により、理想的な振動を実現してきました。しかし機器の小型化にともなってチップのさらなる小型化が要求されると、加工が困難になり、形状のばらつきが量産効率を引き下げてしまう、という限界が生じてきました。
そこでエプソントヨコムでは、従来のベベリング加工にかわり、フォトリソ加工とフォトエッジングよって水晶ウェハ上でチップの形状加工、電極形成などを行うQMEMS技術により、より高レベルの加工精度を実現、特性が均質な超小型水晶チップに量産性と信頼性の進化をもたらしました。
QMEMS技術は、フォトAT振動子/発振器のほかにも、厚みの極薄化により基本波で安定した基本高周波を実現するHFF水晶振動子など多くの画期的な水晶デバイスを生み出しています。

QMEMS 超小型 MHz帯水晶振動子 ラインアップ

FA-118T

  無線リファレンス用途 クロック用途
公称周波数範囲 30.000MHz ~ 54.000MHz
周波数許容偏差 ±10 × 10-6 ±30 × 10-6
周波数温度特性 ±12 × 10-6
(-20℃ ~ +75℃)
±30 × 10-6
(-20℃ ~ +75℃)
外形寸法 1.6×1.2×0.35mm

FA-128

  無線リファレンス用途 クロック用途
公称周波数範囲 24.000MHz ~ 54.000MHz
周波数許容偏差 ±10 × 10-6 ±30 × 10-6
周波数温度特性 ±10 × 10-6
(-20℃ ~ +75℃)
±30 × 10-6
(-20℃ ~ +75℃)
外形寸法 2.0×1.6×0.5mm

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